From:黒木ゆい
夫が急に優しくなったり。
プレゼントを買ってきたり。
やたら饒舌だったり。
これは浮気の兆候!!
…というのが、最近やってた「残念な夫」というドラマに出ていましたが。
私にも、これと同じようなことが起こりました。
ドラマのように、私の家庭も子どもが生まれてからいわゆる産後クライシス、だったと思います。
妊娠中は、ホルモンバランスの変化でイライラしたり、産後は睡眠不足でイライラしたり…
私自身、まったく余裕が持てず、彼には怒ってばかりでした。
家に帰るのが嫌になって、男が浮気に走るのはよくあること…
と岸谷五郎が言っていましたよね…。
うちも、そうだったのかもしれません。
私だって、イライラして彼に当たったりなんてしたくなかったです。
彼に嫌われたくないし、愛される妻でいたいと思っています。
でもイライラする気持ちはどうしようもなくて。
当たってしまったあとはさらに自己嫌悪で辛くなって、余計に落ち込んで、イライラして…
その繰り返しでした。
ドラマを見ながら、もしかしてうちの夫も…
なんて思っていた矢先のことです。
ある日突然、夫が豹変したのです。
「ただいま~」
「おかえり。早かったね。」
「うん、今日はお土産買ってきたよ」
「おみやげ?」
「うん、これ。前に見たいって言ってた、映画のDVD。レンタルしてきた。」
それは、妊娠中、私が見に行くことができなかった映画のDVDでした。
「たまにはゆっくり映画でもどうかなと思ってさ。
映画館には行けないけど。家でならゆっくり見れるし。
もしその間ハナ(赤ちゃんの名前)が泣いたら、俺があやすから。」
「あ、ありがとう…。」
「あと、映画みながらゆっくりお茶でも飲もうと思ってさ。
ハーブティーも買ってきた。
俺が淹れるから、座って待っててよ。」
と言って、彼が台所にたったのです。
このときの私の気持ちは…
あ・や・し・い!!!!
正直、見たい映画を覚えていてくれたことはうれしかったけど…
夫から「ハーブティー」なんて言葉は聞いたこともないし
「俺が淹れるから」
なんて言葉がよもや出てくるとは思いませんでしたから。
これは、もしや本当に…
私が疑いに胸をモヤモヤさせていると…
台所に彼が立っていたときに、リビングに彼が置いていったスマホがなりました。
そして、LINEの通知画面に、こんなコメントが…
『ハーブティーの淹れ方、お伝えするの忘れちゃいました★
普通の紅茶より出るのが時間かかるので、2~3分おいてくださいね!
映画の感想も楽しみにしてますから♪
絶対見てくださいよ♪♪』
そのとき、私は一瞬で悟りました。
彼は私のためではなくて、この女にすすめられて、この女と会話するために、こんなことをしたんだわ…
そのときはもう怒る、というより、ボーゼンとしてしまいました。
そして、気が付いたら、ポロポロと涙がこぼれおちていました。
「お茶、できたよ~…
うわっ!?え、なんでなんで泣いてんの!?」
「なんでじゃないわよ!
これ、どういうことよ!!!」
私は彼にLINEの画面を見せつけました。
「え?何??」
「何じゃないわよ!!この女と浮気してるんでしょ!?
だからこんなの持ってきたんでしょ!?バカにしないでよ!!!」
「…え?えぇっ!?」
私はその後も感情がおさまらず、泣きながら彼にどなり散らしました。
正直、何を言ったのかよく覚えていません。
「違う、違うって!!これ!!これ見てよ!!!」
そう言って、彼は、紫色の箱を出してきました。
「ルナリズム…なにこれ?」
「これ、女性のホルモンバランスを整えてくれるお茶らしいんだよ。
ネットで色々調べてたら見つけて。
そしたら会社の子が同じの飲んでてたから話しかけたら、イライラしたときに飲むと気持ちが落ち着くから、って教えてくれて…。」
最近、イライラしててしんどそうだったから。
俺なりに色々調べたんだよ。
俺も、サチコが怒りたくて怒ってるじゃないって、分かってる。
と、彼。
「え、じゃあ、映画は…?」
「…その子がさ。
ホルモンバランスのこともあるけど、一番大事なのは、2人で気持ちを共有する時間を作ることだって、言われて。
一緒に笑ったり泣いたり、感動したり、そういう時間が一番大切だって。
ひとりで、子育てしている気持ちにさせちゃダメだって…。
だから映画見て、感想話したりするのがいいですよって。
これ、すすめられた。」
「確かに俺、子育てもまかせっきりで。
ちゃんと話する時間ももててなかったと思って。
イライラしてる時は、話しかけないほうがいいのかと思ってた。
でも、違ったんだよな。
ちゃんと、話をしてないから、余計イライラしちゃうんだよな。
これから、ちゃんと話せる時間をつくろう。
そのために、家事も、サチコみたいに上手にできないけど、ちょっとずつ手伝うからさ。」
そう言って、彼が私にハーブティーを差し出しました。
もうすっかり冷めていたハーブティー。
温めなおそうか、なんて、気がきく彼ではなかったけれど、そのとき飲んだハーブティーは、私が過去に飲んできたどんなハーブティーよりも、美味しかった。
あれから、イライラすることが完ぺきになくなったわけではありません。
彼はやっぱり家事はへたくそです。
私がやり直さなきゃいけないこともしばしば。
でも、イライラしたときこのお茶を見るとあのときの彼を思い出せるし、飲むと気持ちが落ち着いてきます。
それがハーブの力なのか、彼の優しさのおかげなのか。
私にはよく分かりません。
でも、あれからこのハーブティーは我が家に常備してあって。
彼は、ハーブティーを淹れるのだけは、とっても上手にできるのです。
---------------------------------------------------------------------------
今日は、感動的なエピソードをお客様からいただいたので、ご本人の許可を得て、わたくしライター黒木が文書を編成させていただきました。
※登場人物の名前は、仮名です。